総合商研株式会社

第53期 決算説明会【書き起こし】

開催日:2024年3月19日(火)

登壇者:代表取締役社長 小林 直弘

皆様、本日は足元の悪い中、お越しいただきありがとうございます。今日はこの時期としては珍しい大雪となり、札幌に長く住んでいる方でもかなり戸惑ったのではないかと思いますが、そんな中、お越しいただきありがとうございます。私の方から、第53期第2四半期の決算についてご説明させていただきます。

第2四半期連結業績ハイライト

第53期第2四半期の業績の概要になりますけれども、売上の方が113億4,000万円、前期比で3,400万円ほどマイナスになっている状況になりますが、営業利益の方は9億6,400万円と1億900万円増、経常利益の方で10億300万円、9,600万円増という形で終わっております。

売上の減少に関しては、年賀状印刷の受注減というところが非常に大きく影響しており、これに対しては、売価への価格転嫁を進めてまいりました。また、イベントや店頭資材などの引き合いもいただいており、それらが年賀状のマイナスとなった部分をカバーしたというような状況になります。

利益面については、光熱費が昨年と比べて大きく減少した点と、年賀状印刷に関してかねてから行ってきた投資によって、業務の内製化や、内部処理の効率化が可能になった点が、利益面に大きく貢献した要因になっております。

第2四半期の業績の推移についてですが、コロナ禍になってから売上が減少している状況になりますけれども、利益面では、今四半期は、過去5期で最高となっております。売上が減った一方で、業務の効率化を継続的に行うことができており、これが利益の向上につながっております。

トピックス

続いて、トピックスについてご報告させていただきます。前回ご報告させていただきましたが、昨年10月にBPO.MP社というベトナムで主にBPO事業を展開している会社に出資を行っております。これまで中国に委託していた文字の入力業務などをこちらに移管している形になります。あわせて制作業務、制作のオペレーション業務に関しても、現在同社への移管を進めているような状況で、外注費の圧縮といったところで大きく貢献しているところでございます。また、同社が所属しているMPグループにはIT関連を行っている会社もございますので、今後もいろいろな形で協力体制を組みつつ、そういったところの分野に関しても協議しながら進めていく予定です。

2つ目、自治体への取組強化についてですが、こちらは事業戦略のひとつとして、当社の長期ビジョンにも掲げているところでございます。昨年から、コンテンツマネジメントシステム、CMSという、ホームページの管理が非常に簡単になる仕組みを用いて、自治体のウェブサイトのリニューアル業務の受託に取り組んでおります。現時点では網走市と滝川市の2市から受託しており、つい先日ウェブサイトのリリースを行ったという状況になります。

また、上半期は、北海道農政部の方で発行しております「Confa」という情報誌の制作業務も当社で受託いたしました。4月からは、新たに旭川市の広報誌の制作業務の受託が決まっております。「JP01」などとの活動とあわせて、情報誌やホームページ等々の業務についても、北海道の各自治体にどんどん足を延ばして営業活動を進めてまいります。

続きまして、当社BPO事業の拡大というところになりますが、もともと当社では年賀事業において、コールセンターや入力業務におけるノウハウの蓄積がありまして、これを活かしてBPO業務の拡大を推進しております。上期は、北海道LPガス協会様から、補助金の申請に係る受付業務の委託を受けております。昨年、第1回目の業務を受託し、いったん終了した際に非常に高い評価を受けており、継続して第2期目を受託している状況になります。

また、コールセンター業務の強化というところで、次になりますが、AIボイスボットの導入を行いました。まだ試験段階ではありますが、これから人員の採用に関しては非常に難しい局面を迎えるものと思っておりますので、なるべく人の手をかけずに、こういった自動応答などの新しい技術を導入しながら、業務の強化を図っているというところになります。

5点目になります。環境負荷の軽減というところで、本社内のエアコンの入れ替えをいたしました。今まではガスヒートポンプという形で、燃料がガスでありましたが、電気へと切り替えを行いました。これによりエアコンのCO2の使用量が約半分強になる見込みとなっております。

また、当社の印刷機の版材を作る機械に関しても、なるべく廃液を使わないよう無処理版のものに替えておりまして、こちらの運用により環境負荷の低減というところに貢献してまいります。

最後に、当社の連結子会社である、味香り戦略研究所の活動になります。ご案内の通り、現在、12万件を超える食品や味に関するデータが集まっているような状況になります。こちらのデータベースを使っていろいろなサービスを展開しておりますが、昨年、「コレスキ」という嗜好性診断のサービスの提供を開始しております。個人が自分の味の嗜好をゲーム感覚で調べることができるサービスになりますが、こちらのデータも集計して、日本の各地域にはどういった嗜好の方が多いかとか、どういった味が好まれているのかなど、そういった研究にも用いようということで、サービスを展開しております。

さらに、「フードNFT」というコンソーシアムがありまして、これは、味のデータベースと味の分析技術を使って味をデジタル資産として保存していこうという活動を行っているものですが、こういった取組にも今参画しているような状況になります。この他にも、12万件という膨大なデータを有効に活用しながら今後のサービスの展開を検討し、進めているような状況にあります。

連結業績予想

第53期、通期の見通しに関してですけれども、当初の発表から変更はなく、売上については162億円を見込んでおります。営業利益に関しては2億1,000万円、経常利益の方は3億1,000万円という形で進めております。上期は年賀状の減少の影響もありましたが、効率化の効果がかなりあったこともあり、好調に推移いたしました。下期の方は、来期に向けた準備という形になってまいりますので、見通しが非常に明るいという状況ではございませんが、従来通りで推移いたしますと、これぐらいの見通しになるものと考えております。

重点的取組事項

続いて、当社の重点的取組事項をご報告いたします。まず当社では現在、「社会課題の解決を通じた新しい価値の創出」という形で長期ビジョンを掲げております。その中で今、スライドの下の方に3つの枠がありまして、その中のオレンジ色で記載されている項目、こちらに関して重点的にリソースを割いて進めております。一番下は人事組織戦略になります。採用の強化と人材の育成という形で、人に対する投資というところを厚くしながら今後の活動を進めてまいります。

次ですが、当社の具体的な取組を上期と下期に分けて記載しております。まず、株式会社アスコン、小松印刷グループ株式会社と、当社、3社共創で様々なプロジェクトを組み、情報交換しながら、各社、クライアントに対してご提案を行うという形を継続しております。社内のネットワークだけではなかなか手に入らない情報に関しても3社間で共有しながら、またお互いに刺激を与え合いながらプロジェクトを進めております。

また、ベトナムに関しては、業務委託を拡大することと、新規事業をどのように開拓していくかというところを主眼に進めてまいります。

さらに上期に続いて下期に関しても、コンサルを入れながら業務のデジタル化を進めていきます。これは、社内の効率化というところに主眼を置いたDXという形になります。

下期の大きなトピックスとして1点ピックアップしております。日本郵便株式会社におきまして、「オリジナル切手作成サービス」というサービスがありまして、こちらの事務局運営の業務を当社で受託することとなりました。これは個人の方から企業の方まで、ご自分の撮った写真ですとかイラストを、簡単にシールタイプの切手にすることができるサービスとなっております。東京の銀座郵便局の中に事務局を構えて、生産業務を含めて当社の方で一連の業務を担う形になります。第51期に東京2020のオリンピックとパラリンピックがありましたが、その際にも同社はメダリストのフレーム切手を発行しており、その業務についても当社の方で受注、実施しており、その実績もあって今回の受注につながったものと思っております。今回も、品質や情報管理について安心・安全で行い、実績を作っていきたいと考えております。

参考資料

以降、参考資料になりますので、お手元の資料でご確認いただければと思います。各種計算書類と当社の体制の部分になります。

第53期第2四半期決算説明会資料(4 MB)

私からの説明は以上になります。どうもありがとうございました。

質疑応答

質問者:「1点目に、ベトナムのBPO.MP社の持分取得について、御社の業務にどのようなメリットやシナジーがあるのか。2点目に、自治体関連の業務の受託について、競合企業などいるか。また、自治体関連の業務を受託するにあたり苦労されている点があれば、その点について伺いたい。」

まず、1点目のBPO.MP社と当社の関係におけるシナジーについて回答いたします。当社主力の年賀状印刷事業におきましては、個人のお客様が店頭で年賀状申込用紙に記入した手書きの文字を、当社においてパソコンに入力するという業務が発生いたします。当社製造分で、100万件ほどの量があり、これまでは中国の企業にほぼ100%委託をしておりましたが、今期、そのうち約12%を、より安価なコストでBPO.MP社に移管している状況になります。来期に関しては約半分を移管しようと計画を進めております。

今回移管の背景をお話ししますと、クライアントから、個人情報にまつわる業務を海外に委託する場合に、その委託先として中国が適切かどうかというお話が出まして、検討の結果、ベトナムの会社を選ばせていただいたという経緯がございます。

また、BPO.MP社に関しまして、当社の持分が26%分ございますので、発生した利益の26%分が当社に還元されることになります。これによりコストを抑えながら、業務委託をすることが可能になっております。

BPO.MP社はMPグループに属する企業になりまして、MPグループの各社と様々なやりとりができるのも非常に大きなメリットでございます。AIを組み込んだコールセンターのシステムを独自で開発するなどしておりますので、その導入なども視野に入れつつ、BPO.MP社との提携を推進していこうと考えております。

二つ目の、自治体への取組に関するご質問についてお答えします。まず、当社が自治体のウェブサイトへの導入を推進しているCMSですが、こちらは当社独自のものではございません。CMSの種類には様々なものがありますが、自治体のホームページは複雑な構造で、ページ数が1万ページに及ぶことがある上に更新頻度も高いということもあり、ノウハウも必要な業務でもあります。そこで、愛媛県にある、自治体へのCMS導入トップシェアの福泉株式会社とタッグを組んで進めております。

また、自治体の情報誌等の受託業務の競合相手については、地元の業者が主な競合相手になります。特に、自治体の入札要綱には、地元の業者を優先する旨が記されていることも多くあります。その点、ホームページのリニューアル業務はそういった条件がほとんどないので、ここを切り口にして、他の課題もヒアリングしながら、少しずつ関係性を深めていくといった形で取り組んでおります。様々な企画提案ができるという当社ならではの優位性を活かしつつも、謙虚に、地道に関係性をつくりながら進めていくというのが、最善の方法であろうと思っています。