総合商研株式会社

第54期 決算説明会【書き起こし】

開催日:2025年9月24日(水)

登壇者:代表取締役社長 小林 直弘

皆様、本日はご多用の中、お越しいただき誠にありがとうございます。それでは早速ではございますが、第54期の決算報告をさせていただきます。

第54期 連結業績ハイライト

まず、第54期連結業績のハイライトですが、売上高は162億3,600万円となり、前期比で約4億3,900万円の増収となりました。利益の方は、営業利益が3億5,100万円で9,700万円の増加、経常利益が4億3,100万円で8,500万円の増となり、増収増益という形で終了しております。

全体の概要としては、数字は増収増益で着地しておりますが、企業環境としては非常に厳しい状況が続いております。年賀状事業に関しましては、需要減少が報道等でも広く知られているところでございますが、昨年の郵便料金の値上げもあり、受注件数は減少傾向にございます。これに伴い、年賀関連の資材の受注も減少し、年賀事業全体としても売上が減少している状況です。

一方、販売促進事業におきましては、折込チラシの受注に関して、複数の新規クライアント獲得により、チラシ印刷の受注部数の減少を補うことができました。また、価格転嫁も適切に行えたことから増収となりました。ほかにも、まだ大きな数字にはなっておりませんが、自治体のホームページ制作やPR、イベント等に関する受注が売上に貢献したものと考えております。

利益面では、年賀関連事業において大幅なコスト削減を実施し、生産工程の自動化の推進などが大きな成果として表れております。商業印刷事業におきましても収益性の改善が進みました。大型印刷機の減価償却が進んだことも利益増加の要因となっております。

続きまして、過去5期分の業績推移をご覧いただきます。大きな変動はございませんが、利益は順調に伸びてきており、コロナ禍で一時的に落ち込んだ売上・利益も徐々に改善され、安定した収益の状況になっているかと思います。

事業別取組事項

商業印刷(販売促進支援)事業

次に、事業別の取組状況についてご説明いたします。商業印刷事業では、北海道・関東・関西エリアにおいて新規の大型流通小売店の業務受注があり、業績向上に大きく寄与しております。関東・関西の新規クライアントとは、取引開始より1年間安定した取引を継続することができ、一定の信頼を獲得できたものと考えております。クライアントあたりのチラシの部数は減少傾向にありますが、新規営業活動の活発化によりそれを補っているという状況でございます。

併せて、新規事業領域としてSNSを活用した販促などのデジタル領域の取組や、店内POP・ポスター等のインストアプロモーション、キャンペーンの事務局運営などのBPO業務の強化にも注力しております。印刷物中心の販促から、他領域へのシフトを図っているところでございます。

デジタル販促に関しては、SNSでのPRに加え、3D空間スキャナーを活用し、新店オープンや改装時の売り場づくりをリモートで支援する取組も進めております。また、マーケティングの取組にも注力しております。戦略マーケティング部の人員を各地に配置し、クライアントの根本的な課題解決を支援する体制を整えております。

年賀関連事業

次に年賀関連事業についてです。先に申し上げました通り、郵便料金の値上げと年賀状需要の減少が大きな影響を及ぼしております。回復は容易ではないと考えておりますが、主要クライアントと協力しながら減少幅の抑制に努めるとともに、一般のお客様に年賀状文化を楽しんでいただき継続していただけるような施策にも力を入れております。加えて、内製化や人件費削減を目的とした自動化の推進も継続しております。生産工程においては自動化がかなり進んでいる一方で、年賀状のデータを制作する段階や、コールセンターなどのお客様対応の部分はまだ人手を要しており、ここに関してはAI技術の活用が期待されております。AIによる電話自動応答の導入などの取組を進めているほか、デザイン領域においても各種AIサービスの活用を検討中です。

地方創生関連事業

地方創生関連事業につきましては、「JP01」という当社発行のフリーマガジンを中心とした活動によって、地方自治体との強固な関係構築が進んでおります。自治体ホームページや広報誌制作業務など、広い意味での「広報」業務をご依頼いただいている状況です。自治体のホームページ制作は現在6自治体を受注しており、加えて本年中に2件の入札への参加を予定しております。北海道内50自治体の受注を目指し、引き続き取組を進めております。昨年開催した自治体フォーラムでは、自治体職員の皆様を招き、ホームページ制作や自治体DXの事例共有を行い、関係強化を図りました。今年も同様の開催を予定しております。

地域メディア・その他事業

地域メディア事業は、「地域新聞ふりっぱー」を中心に展開をしております。現在、不動産や病院など業種に特化した特集を組む企画を実施しております。また、ふりっぱーに連動したチラシのポスティングサービス「ふりポス」を展開しており、札幌市内を約1万世帯ごとにエリア分けし、配布エリアを明確化することで、営業担当にとっては営業がしやすくなり、クライアントにとっても使いやすいサービスとしてご好評をいただいております。また、「ふりポス」ではチラシ印刷の受注も併せて行っております。「JP01」に関しては、本誌とは別に「プチJP01」というものを発行しており、こちらを地域の広報誌代わりにご依頼いただく自治体が増加しており、一層のブランド化を進めております。

その他取組

その他の取組といたしましては、社内DXの強化およびセキュリティ強化を含むデジタルリスキリングに取り組んでおります。北海道大学のデジタルリスキリングプログラムへの参加や早稲田大学の教授を招いたAI・先端技術の勉強会の実施など、全社的にデジタルリテラシー向上を図っております。セキュリティに関して、当社は大量の個人情報を扱う事業を行っておりますので、非常に重要なリスクであることから、社員一人ひとりのリテラシー向上を大きな課題と認識し、引き続き資本を投入しながら取り組んでまいります。

トピックス

「郵便局のプリントサービス」業務の受託

ここからは個別のトピックスでございます。かねてよりお付き合いのある日本郵便株式会社様が提供するウェブ印刷サービス「郵便局のプリントサービス」の業務を受注いたしました。年賀状印刷サービスのほか、通年で名刺や挨拶状などの印刷も行っております。また、株式会社郵便局物販サービス様から物販のBPO業務も受託しており、全国の半数のエリアのコールセンターを当社で運営しております。今後も日本郵政グループとの連携強化を図ってまいります。

プロスポーツチームとの連携

また、プロスポーツチームとの連携というところで、今シーズンよりプロバレーボールチームである北海道イエロースターズにスポンサーとして出資しております。また、プロバスケットボールチームのレバンガ北海道には、かねてから継続的に出資をしております。ふりっぱーを活用しながら地元スポーツを通じて市民の皆様に喜んでいただける企画を展開しております。地域にお住まいの方は地元チームを応援される方が多く、北海道日本ハムファイターズの好調も話題となっておりますが、こうした地域の盛り上がりを支援しつつ、グッズの取扱いなど領域開拓も進めてまいります。

デジタルクリエイティブの推進

次に、今年、デジタルクリエイティブ推進の一環として「映像・コンテンツ課」を新設いたしました。従来は紙媒体の制作がメインでしたが、この部署では動画編集や3DCG制作を中心に手掛けております。実践を通じて少しずつ勉強しながら取組を拡大しており、特に旭川市および北海道の広報では、紙面内容を動画でダイジェスト化し、紙媒体での閲覧が難しい方に向けたわかりやすい発信として好評を得ております。今後も、こういった紙情報の映像化を推進してまいります。

特別配当の実施

最後に、特別配当の実施についてご報告いたします。普通配当10円に加え、特別配当として10円を上乗せし、通期で30円の配当とさせていただきました。業績の好調を受け、株主の皆様への還元を図ったものでございます。ただし、経営環境は依然厳しいと見込まれるため、55期は普通配当10円を維持しつつ、今後の業績推移を見ながら特別配当の実施を検討してまいります。

第55期の見通し 連結業績予想

最後に第55期の見通しでございます。売上高は163億円、営業利益は3億5,500万円、経常利益は4億3,500万円を見込んでおります。年賀状事業やチラシ事業は減少傾向が続く見込みですが、新規クライアントの獲得が活発に進んでおり、減少分をカバーしていく考えでございます。運営面では省力化と効率化を推進し、収益性向上に努めてまいります。

基本方針は変わらず「社会課題の解決を通じた新しい価値の創出」を掲げております。このページには「印刷」という言葉はほとんど出てきておりません。印刷を中心にやってきた会社にはなりますが、それ以外の領域の販売促進というところを強化していきながら進めたいと考えております。

以下、参考資料になっておりますのでご覧ください。

第54期 決算説明会資料(5 MB)

私からの説明は以上になります。ありがとうございました。

質疑応答

質問者:「地方創生関連事業において、自治体への営業は競合が激しいイメージがある。御社の競争力の源泉を伺いたい。」

当社の強みといたしましては、まずフリーマガジンである「JP01」の活動が大きな役割を果たしております。自治体から広告費をいただきながら、無料で手に入れることができる媒体として運営しております。観光部門のみならず一次産業に関連する部署など多岐にわたる部署とのお付き合いがございます。そうした関係性から「こういった入札があるので参加してほしい」とお声がけをいただくことも多くございます。

また、自治体のホームページ制作に関しましては、自治体のホームページは一度作って終わりではなく、毎日更新されるものであるという特徴があります。さらに、8割くらいの職員がその更新作業を行うと言われています。その運用にあたっては、たくさんのコンテンツを簡単に管理しながら、正確な情報を正しいタイミングで発信する必要があります。それらを実現するCMS、コンテンツマネジメントシステムというものがあります。これは競合自体が非常に少なく、当社は福泉株式会社という愛媛県にある企業のCMSを利用しております。愛媛の企業が北海道に営業をするのは大変ですから、地元の自治体と関係が深い当社が営業活動を行っているのですが、このCMSが営業活動において大きな強みとなっております。自治体のホームページ制作後も、その外郭団体のホームページ制作を行うなど、その後の展開にもつながっております。

まとめますと、当社の自治体営業の強みとしましては、多くの自治体と部署とのかかわりを持つことができる「JP01」の活動と、ホームページ制作においてはCMSの存在が大きく影響していると考えております。